書くことからはじめてみよう。

言葉にすることで、何かが変わるかもしれない。

音楽#1 とびいし

 

僕たちは、普段、言葉を使って、会話をしたり、文章を書いたりしている。

言葉を口にすること。それは自然に、何も考えずともできるようなことで、特別な表現を求めたりしない限り、悩むことなく言葉を続けることができる。

考えてみれば不思議なことだ。文章というのは言葉に言葉を重ねて作られるけれど、一つの言葉の次にどんな言葉が来るのかは、本当は何も決まっていないし、決められてもいないし、完全に自由なのだから。一つ一つの言葉の後には、無限の選択肢が用意されていて、その先には無限の世界が広がっている。

けれども僕らが普段、何とはなしに言葉を口にするときには、同じような言葉遣いばかりしていることがとても多い。言葉と言葉のつながりが、あるパターンを持ってしまっていて、考えているつもりでお決まりの展開に終始してしまう。どんなに自由に考えようとしても、口を出てくる言葉は限られているし、たくさんの言葉を知っているはずなのに、あえて違う言い方をしようとすると、何も思い浮かばなくなってしまったりする。

言葉を自由に使うことができたなら、言葉の自由を使うことができたなら、僕たちはどれほど、遠くへ飛んでいくことができるだろう。

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言葉の自由は、言葉そのものよりも、言葉と言葉の間に立ち現われるものなのかもしれない。

言葉と言葉の間には、必然的なつながりは何もない。何もないけれど、普段僕たちは、“つながってしまった言葉たち”を口にしてしまっている。もし、一つの言葉の後ろに、その言葉に縛られない言葉が、それでいて自然に感じられるような言葉が、無限の選択肢の中から選び取られたなら、僕らはきっと、言葉と言葉のその間に、自由を感じることができる。言葉と言葉の間の、音と音との間の、その微妙な空間の中で、無限の可能性の中からたった一つの答えが、偶然と必然に導かれて選ばれるその瞬間を、僕たちはどこかで待ちわびているのかもしれない。

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「言葉探しが大好きだから、歌を通して遊んでいるような感覚」があるのだそうだ。

言葉探し。歌という、言葉の音のつらなりの中で、宝物のような言葉が見つかるときというのは、きっと、そこに自由が芽生えたときなのだろう。

一つ一つの言葉をのびやかに歌うその声には、次にくる言葉を、何にも縛られることなく選んでいける身軽さがある。一つの言葉を歌い、次の言葉を口にするまでの、そのわずかな時間の中に、ある言葉から別の言葉へと自由に飛び移っていく姿があるような、そんな声が聞こえる。まるで川瀬に浮かぶ飛び石の上を自由に飛び回るように、言葉を歌い上げる声が聞こえる。

ああ、きれいな声をしているな、と思う。

あなたもそう思いませんか?

 

 


【MV】朱夏/夢で会いましょう

 

おわり