書くことからはじめてみよう。

言葉にすることで、何かが変わるかもしれない。

仕事#1 利益は利益のために?

仕事場で所長に指導を受けた。

「お前の欠点は、自分の行動が周りにどう思われているか考えてないことだ」

「自分の行動が、会社の行動として理解される」

「個人的にどう思われるか(プライベートで)は構わないけど、これは仕事だから、お前の行動の責任はお前ひとりで背負えるものじゃなくて、会社の責任になるということをきちんと考えて」

返す言葉は無かったけれど、おなかのへその左側あたりに鉛か水銀かを淡く垂らしたような鈍い感覚があった。

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他人にどう思われるかを気にするとはどういうことだろう。

仕事では、「いい人」「優しい人だ」と好印象を与えるだけでは意味がない。それでは好感を持ってもらえても、「じゃあ注文を」とはならないからだ。お金を稼ぐためには、物を買ってもらったり、契約をしてもらったり、取引を結んでもらわないといけない。他人と言ってもここでは得意先、取引先のことを指しているわけだから、得意先や取引先にどう思われるかを気にしなさいということになる。では、どう思われると良いかというと、取引先に“取引先として”気に入られればいいわけだから、「この人と接点があればウチ(=取引先)の利益になる」と思われると良いうことになる。もちろん、利益といっても、決して金銭的なものには限られないけれど。

自分の行動が周りにどう見えるかを気にする、というのは、仕事の場面でいえば、極言すると、「取引先から見て利益が期待されるような行いをし、不利益が予想されるような行いをしない」ということになる。

事態がややこしいのは、「じゃあ相手の利益になるようにやってればいいじゃない」とは単純にはならないところで、というのも仕事上の自分の行動というのはどこまでいっても自社の利益を求めてのものであって、自分が所属する会社の利益にならない行動など自社にとっては何の価値もないからだ。

自分(の会社)が利益を生むために行動する。それは仕事の基本だ(少なくとも会社員の僕にとってはそれは純然たる現実だ)。そこで僕たちは、自社の利益を生むために、他社の利益を生むような人間になることを求められる。個人的なパーソナリティとか趣味嗜好とかはどうでもよくて、まずは/何より「利益にかなう」行動をすることが求められる。自社の利益を求めて、自社の利益を露わにはせずに、他社にとって利益がある人間を演じ、自社の利益を確保する。そのとき、自分にどんな利益が生まれるんだろう。

お金とか?経験?人脈?

 

ここで、僕は即物的で金銭的な「利益」の話をしていることを書き添えておきたい。そんな「利益」とは違うものを生み出す仕事はたくさんある。僕の会社や仕事にもきっとあるはずだ。ただ今日はこんなことを、所長の話を聞いた後、帰りの電車の中で考えていたという、そういう話。

 

おわり